エネルギービジネス



■目次
序章 京都からモンテリオールへ
一章 京都議定書で変わるビジネス
二章 京都議定書で加速する三つのビジネス
三章 新エネルギーはどう変わる
四章 議定書でビジネスを変える




■気になったことなど

一章 京都議定書で変わるビジネス
京都議定書の三つの課題
・条約を守らない場合の措置が不十分
(超過排出量の1,3倍分を次期約束期間の必要削減量に上澄みする、という法的拘束力はない)
発展途上国の削減義務はない
(2025年途上国におけるCo2排出量は倍増し、先進国を追い抜く)
・世界最大のCo2排出国であるアメリカの不参加




○日本の温室効果ガス削減シナリオ
日本の温室効果ガス削減目標はマイナス6%と、京都議定書で定められているが
それは基準年である1990年のものと比して−6%であり、2004年比では13,4%の
削減が求められています。


最近、新聞でも多く取り沙汰されるこの話題、−6%は相当厳しいよう。
流行の京都メカニズム化石燃料のやり繰り・省エネルギーだけでは削減には限界がありそう。


そこで、政府は2010年には新エネルギーの割合を3%程度に高めることを目標としています。




○電力産業の構造変化
これまで、発電設備を建設する重電と呼ばれる産業では、発電規模が大きくなるほど発電効率は上がるため、大規模化が発電事業の歴史でした。


しかし、京都議定書締結を機に、エネルギー需要そのものが頭打ちになる中で、CO2排出量の多い燃料の使用量が削減されていくことから、化石燃料を使った大規模発電システムの設備容量は縮小することとなります。


この状況下、ビジネスモデルの転換が起こっています。


たとえば、従来ある大規模発電所の維持管理を、より効率的にするサービスがビジネスとして広まっています。ESCO(Energy Service Company)など、削減コスト分の何割かを配当として受け取る、というサービスです。


上記を含め以下のような変化があります
・発電事業におけるサービス化
・IPP、PPS、BOTなど投資事業
(自ら事業者となって事業のリスクも負う代わりに、事業者としての利益を獲得する)




二章 京都議定書で加速する三つのビジネス
○バイオから水素へ
バイオマスは、性状によって、木質や建設廃棄物などの乾燥系、食品廃棄物や下水汚泥などの湿潤計、黒液など大量にあり、更にエネルギー転換の選択肢が多く、加えて水素を取り出すことが容易なため、バイオエネルギー用に作った流通基盤は水素エネルギーの時代に移行できる。


そのためには、今のところ需要家に絶え間なくエネルギーを届けるためのロジスティクスを構築することが肝要であり、それに向けて事業基盤づくりに取り組んだものが、次世代エネルギーシステムの中核となるでしょう。




○装置ビジネス相違
大規模(従来型) 新エネルギー
設計 特注 凡用品
人材 機能別専門職 多機能エンジニア
建設 現地 完成品セットアップ
開発 自主開発 市場調達


→よって新エネルギーでは、燃料調達、設備調達、システムエンジニアリング、発電技術など事業資源を最も効率的に使うためのリソースマネジメントがビジネスの根幹となる。




○マイクログリッド
新エネルギー発電事業が自立するためのポイントとして、制御とハイブリッドがある。
制御とは、新エネルギーに蓄電池や発電機を組み合わせて電力品質を安定化させること。
ハイブリッドとは、季節変動のある新エネルギーを、各々の欠点、利点を補完し合うこと。


これら双方の要素を含むのがマイクログリッドであり、限られた地域の中で複数の電源と需要をネットワークし、構築されたエネルギーシステムによる発電手法を指す。


地域だけでなく、病院やマンション、あるいは工場で今後、マイクログリッドの手法を用いたネットワーク管理ビジネスも行われるかもしれない。




三章 新エネルギーはどう変わる
○水素エネルギーはなぜ注目されているか?
・環境性に優れている
・エネルギー効率が高い
・さまざまな原料から製造できる


本格的な水素エネルギー時代への移行には30~40年を要すると見られており、どのような技術や流通網がどのようなタイミングで主流となるかを勘案した上で、どのように布石を打つかが将来のビジネスの成否が決まります。


燃料流通の基盤つくりはバイオ燃料のインフラ作りの動向を、需要サイドの開拓は燃料電池のような装置の普及動向をチェックすることが肝要です。




四章 議定書でビジネスを変える
モノカルチャーからの脱皮
大規模設備の建設から新エネルギー発電設備の設置へ移行するに伴い、求められる能力、人材も変わってくる。事業やサービスに重点を置いたマーケットで大事なのは、顧客のニーズに応じてハードウェア、ソフトウェアを見分ける目利きであり、それらを組み合わせるエンジニアリング力である。


これは違う言い方をすれば、エネルギー産業が重厚長大型のビジネスから軽小短薄型のビジネスにシフトしてきている、ともいえるかもしれない。



○地産池消
池消とは新エネルギーに関する自覚を高めることを指す。
国家的、地域的、個人的認識。。自覚のレベルがミクロになればなるほど環境への意識は高まり、地産池消のビジネスモデルである新エネルギービジネスが広まるのです。


この自給自足の状態に加え、更に新エネルギーが地域産業として地域外に打って出るようになることも当書では述べられており、温暖化ガスの削減だけでなく、地域産業の育成、活性化にも新エネルギーは寄与する可能性があります。



風力発電技術
風力発電がアジア地域での需要が高まれば、年間を通じて気候の変動が激しい条件下で稼動してきた日本の技術が大いに役立つ可能性がある。





■編集後記
長くなったな〜;
何はともあれ、視野を広げて最先端の知見を取り組むことが、新しいビジネスや産業を興すために必須条件とのことで、これからもどんどん新エネ関連の情報を取り入れていきたいと思います〜☆